金融機関向けに特化したクラウドサービスを提供する「nCino」がNASDAQ上場に向けて上場申請書類(S-1)を公開しました。
業績推移をみると、2020年1月期の売上は1.38億ドル(前年比51%増)に拡大。営業赤字はマイナス0.28億ドルと大きいものの、対売上比では改善傾向あります。
nCinoが取り組んでいるのは、いわば金融業界の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。一体どんなビジネスを展開しているのか、上場申請書類から紐解いていきましょう。
nCinoのサービスは、もともと銀行の内製システムとして立ち上がりました。母体となったのは、ノースカロライナ州に本拠をおく「ライブオーク(Live Oak)銀行」。
Live Oak銀行自体も、創業が2007年ということでかなり新しい銀行です。創業したのは、現在も会長CEOを務めるチップ・マハン(James S. (Chip) Mahan III)という人物。
マハン氏はそれ以前、金融システム開発会社「S1コーポレーション」のCEOを務め、世界初のインターネット銀行「Security First Network Bank(1995〜)」の創設者でもあります。
さて、ライブオーク銀行の会長CEOチップ・マハンは、貸付をはじめとする銀行業務の非効率さに課題を感じていました。
そこで考えたのは、規制・コンプライアンスを守りつつ、一体的なクラウド型ソリューションを確立すること。
S1コーポレーションの幹部だったピエール・ノーデ(Pierre Naudé)氏に白羽の矢を立て、銀行向けの業務効率化ツールを開発するプロジェクトを立ち上げます。
サービス名はスペイン語でLive Oakを意味する「nCino」と名付けられ、まもなく他の金融機関からも注目を集めるように。nCinoは2011年にスピンオフし、Insight PartnersやSalesforce Ventures等から出資を受けて事業を拡大してきました。
システムはSalesforceのプラットフォーム上に構築されているのも大きな特徴です。これによってSalesforceのスケール性などのメリットを享受しながら、開発に集中することが可能に。
nCinoのサービスの特徴は、銀行業務の一連の流れを網羅していることです。コンセプトは「革命的な銀行オペレーティングシステム」。