今回取り上げるテーマは、「格安スマホ」や「格安SIM」などで注目を集める「MVNO」分野です。
MVNOとは「Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略で、携帯電話などの通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供する事業者のこと。
それに対し、NTTドコモなどの大手キャリアは「MNO」と呼ばれます。
MNOは「Mobile Network Operator(移動体通信事業者)」の略で、MVNOとは違って「仮想」ではない通信事業者です。
日本国内におけるMNOは「ドコモ」「au」「ソフトバンク」のみで、基地局のネットワークを日本全国に自社保有しています。
MNOとして通信サービスを提供するには莫大な設備投資が必要です。
上グラフの有形固定資産のうち、NTTドコモは5.1兆円(減価償却前)、ソフトバンクグループは2.3兆円(減価償却後)を「(無線)通信設備」として計上しています。
つまり、MNOを提供するためには「兆円」単位の設備投資が必要というわけです。
さらに、これらの大手キャリアは3社とも、数千万単位の巨大な契約ユーザー数を抱えています。
毎月何千円と払ってくれる契約者が何千万人も存在しているわけです。
このように、「莫大な設備投資」「巨大なユーザー数」という二つの要因に加え、法律的なハードルもあってMNOへの参入障壁は非常に高くなっています。
このような寡占状態になっていては価格破壊がなかなか進みません。
そうした背景の中で勃興してきたのが、今回の本題である「MVNO」です。
MVNOはMNOとは違って「仮想」ですから、自社で巨大な通信インフラを築く必要はありません。
MNOが有するアンテナや基地局、通信ネットワークなどを借り受けてサービスを提供するため、自社の設備投資額はあまり大きくありません。