昨日も注目ベンチャーの新規上場承認が相次いだ。その中で今回取り上げたいのは「ウェルスナビ」である。
ウェルスナビは2015年に設立され、翌年から資産運用サービス『WealthNavi』を開始。いわゆる「ロボアドバイザー」である。国内ではハシリの1つといっていいだろう。
2016年のサービス開始から、ウェルスナビは文字通り急激な成長を遂げた。2019年には営業収益にして15.5億円に拡大。
営業損失も20.6億円に膨れ上がったが、その後は急激に改善した。直近四半期は収益6.9億円に対して営業損失が1.4億円。
広く知られるように、日本人は「貯蓄偏重」の国民性で知られる。個人金融資産は1,883兆円にのぼるが、そのうち54.7%が預貯金で眠っているのだ。
「貯蓄から投資へ」というスローガンを聞いた覚えのある人は多いだろう。これは、なんと2001年の小泉政権時に言われたことである。
それから20年近くが経った今でも、貯蓄偏重の現実は変わっていない。そんな中にわかに盛り上がったのがウェルスナビを筆頭とする「ロボアドバイザー」だ。
ウェルスナビの普及には、「ロボアド」という切り口が一役買ったことは間違いない。今回はウェルスナビの上場申請書類を読み解くことで、個人の資産運用が今後どうなっていくかについて考えてみよう。
ウェルスナビ創業者の柴山 和久氏は、日英の財務省で9年勤務したバリバリのエリートである。
その後に転職したマッキンゼーでは、機関投資家を1年半サポート。10兆円規模のリスク管理と資産運用に携わった。そして、その地位を投げ打って設立したのがウェルスナビである。
東大法学部卒で、ハーバード・ロースクールも出ており、ニューヨーク州の弁護士でもある。ここまで来ると、もはやハイパーエリートである。
もっとも、順風満帆というわけではなかった。財務省を退職したのは国際結婚がきっかけで、フランスのINSEADでMBAを取得するも、公務員出身なので仕事が見つからない。夫婦の貯金は一時、8万円まで減ったという。
さて、柴山氏がウェルスナビを創業する際、プログラミングスクールの「テックキャンプ」で学んだ話は有名だ。今では有名YouTuberになった『まこなり社長』の会社である。
2016年1月の開始当初、ウェルスナビ(WealthNavi)は招待制だったが、7月には正式にリリース。それ以来、口座数は30万を超えるまで膨らんだ。