MINISO(名創優品)NYSE上場へ:世界4,222店舗、有名IPとのコラボも
MINISO Group Holding Limited

中国のバラエティストア「MINISO(名創優品)」がニューヨーク証券取引所への新規上場を計画、申請書類が公表された。

2019年6月期の売上高は93.9億元(≒1,453億円)、営業利益は10.2億元(≒158億円)にのぼった。2020年6月期はCOVID-19影響で売上89.8億元(≒1,390億円)、営業利益は7.7億元(≒119億円)に縮小した。

後述するが、MINISOはサードパーティ主体の店舗ネットワークであり、その流通総額(GMV)は190億元(≒2,940億円)にものぼる。良品計画の通期売上は4,378億円(2020年2月期)だから、決して遠くない規模だ。

MINISOは日本では「無印良品のパクリ」としてのイメージが強い。Twitterなどで揶揄されることも多いが、グローバルに事業を展開し、利益をあげてきた。

海外展開に苦労している良品計画と異なり、中国に地盤があることもMINISOの強みだ。今後の市場アップサイドを考えれば、将来的に逆転してしまうこともあり得ない話ではない

果たして、MINISOの事業がどのようになっているのか。上場申請書類の内容をひもといていこう。

日本ブランド風のマーケティングで話題に

MINISOの創業は2013年にさかのぼる。早くも2014年頃には「日本で大人気」という触れ込みの10元ショップがあるとして、Twitter上で話題になっていた。

WebArchiveによると、2015年頃の会社ホームページではブランドについて次のように説明してあった。

「MINISO名創優品は日本の東京に本社を置くファッションカジュアル雑貨ブランドです。世界的な『ファッションカジュアルグッドライフグッズ』トレンドのパイオニア的存在である日本の若手デザイナー三宅順也が創設し、当ブランド首席統括デザイナーを務めております。」

MINISOが揶揄されるようになった大きな要因は、「三宅順也」という謎のデザイナーの存在だろう。単なる模倣にとどまらない、徹底した(しかしツッコミどころのある)日本風ブランディングが話題を呼ぶところとなった。

面白いことに、上場申請書類の「リスク要因(RISK FACTORS)」の項目には次のような記載がある。

「我々の会社についてよりよく知らない一部の消費者は、MINISOブランドを日本ブランドとして認知してしまうかもしれない(Certain consumers may ...中略... interpret our MINISO brand as a Japanese brand before learning more about our company, our brands and our products.)」

「もし消費者などが我々のマーケティングアプローチがミスリーディングだとか、不適切だと訴えれば、訴訟その他の法的措置の対象になるかもしれない(If consumers or other parties claim that our marketing approach is misleading or otherwise improper, we may be subject to lawsuits or other legal proceedings)」

ちなみに、現在の日本向けサイトでも「MINISO名創優品は、チーフデザイナーである日本人デザイナー三宅順也と中国の若手企業家葉国富により東京で設立されました」としっかり書いてある。

一方で、目論見書に三宅氏の名前はひとつも触れられていなかった。MINISOがこの「創業ストーリー」を今後どう扱っていくかにも注視したいところだ。

圧倒的なペースで店舗数を拡大

会社ページによれば、MINISOは2013年9月に中国市場に「進出」した。2015年からは海外進出も本格化している。その後は、驚くようなスピードで店舗を拡大していく。

2016年時点でのホームページをみると「店舗数は数百」「毎月80-100店舗をオープン」しているとあった。驚くべきスピードだ。1年後には「千店舗以上」に更新されていた。

その後もMINISOは積極的な店舗数拡大を進め、2018年9月には3,178店舗に達した。足元では4,222店舗にも拡大している。

MINISOの出店先の半分以上は中国国内で、そのほとんどが前述したようにサードパーティ店(Third-party stores)である。海外店舗についても同様で、1,567店舗にものぼるサードパーティ店を出している。直営店は全体で129店舗に過ぎない。

サードパーティ店舗の展開で、MINISOは二つの形式を取っている。MINISOリテールパートナー・モデルと外部ディストリビューターモデルだ。

急拡大を可能にした「リテールパートナー」モデル

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