アンチウイルス対策ソフトとして長い歴史を持つ「McAfee」がNASDAQ市場への新規上場を申請、申請書類が公開された。
パソコンを使ったことがある人なら、McAfeeの名前を知らない人はいないだろう。それほどまでに認知度の高いブランドだが、会社の歴史は非常に変わっている。
その理由の大半は、創業者であるジョン・マカフィーによるものだ。だいぶ前に会社との関係はなくなったため、目論見書には一言も名前は記されていない。
McAfeeの創業はパソコン産業の歴史とも密接に関わりがある。それについて説明するには、ジョン・マカフィーその人について語らずにはいられない。
マカフィーは1945年にイギリスで生まれ、両親と一緒に米国バージニア州のロアノークに移り住んだ。
少年時代は極めて過酷だった。測量士をしていた父親はアルコール中毒で、マカフィーが15歳の時に自殺してしまう。それ以来、朝起きるたびに隣に父親を感じるという。
ロアノーク・カレッジに通っていたとき、マカフィーは事業家としての才能の片鱗を見せる。雑誌を売り歩くという単純な商売だったが、ちょっとした富を蓄えることができたという。
1960年代の後半、マカフィーはパンチカード・プログラムを扱う会社で働き始めた。こうしてソフトウェアの知識を蓄えていったが、マリファナ購入で逮捕され、仕事も追われる。
履歴書を偽装してミズーリ・パシフィック鉄道に転職すると、当時まだ珍しかったIBMコンピュータを導入、時刻表の管理を効率化した。
早くから才覚を見せた一方、マカフィーはすでに酒とドラッグに溺れていた。LSDを使いながら仕事に行ったり、ドラッグを使いすぎて吹っ飛んでしまったりもしたらしい。
1983年、マカフィーはあまりに症状が進行してしまったので、セラピーを受けることにした。